人の目はよくカメラに例えられますが、カメラのレンズに相当するのが水晶体です。水晶体の中身は、透明な組織でタンパク質と水分から構成され、「皮質」と「核」に分かれています。正常な水晶体は透明で、光をよく通します。しかしさまざまな原因で水晶体の中身のタンパク質が変性して濁ってくることがあります。これが白内障です。水晶体が濁ると、光が上手く通過できなくなり、光が乱反射して網膜に鮮明な像が結べなくなり、視力が低下してしまいます。
白内障では眼の中の水晶体が濁ることにより、視力が低下します。水晶体の濁り方はひとりひとり違うため、症状は様々ですが以下の4点があります。
原因は様々ですが、最も多いのは加齢によるものです。これを「加齢性白内障」と呼んでいます。個人差はありますが年をとるにつれ水晶体は濁り、老化現象の一種である加齢性白内障は高齢の人ほど発症しやすくなる傾向にあります。最近ではアトピー性皮膚炎や糖尿病などの合併症として若い人の発症も増えています。
日常生活に支障がない程度であれば、点眼薬などで進行を遅らせることは出来ますが、視力を回復するものではありません。
白内障が進行し、日常生活に不自由を感じるようであれば手術を行う必要があります。
どの時点で手術するかは、ご本人様とよくご相談して決めさせていただきます。
ご自身の白内障が手術を受けるのに適している時期かどうか不安のある方は、お気軽にご相談ください。
眼には、「正常な機能を保てる眼圧(眼の壁をおす力)」が存在しています。そして、その「眼として正常な機能を保てる眼圧」を超えると、視神経がダメージを受けて、視野の一部が欠けてしまう「緑内障」という病気になってしまいます。また、緑内障によっていったん欠けてしまった視野は回復することができません。
日本では、40歳以上の17人に1人が緑内障を患っていると報告されており、潜在患者数は400万人とも言われています。
また、以下の人が緑内障を患いやすいと考えられています。
目の中心をやや外れたところに暗点(見えない点)が出来ます。自分自身で異常に気付くことは先ずありません。
暗点が拡大し、視野の欠損(見えない範囲)が広がり始めます。しかし、この段階でも片方の目によって補われるために、異常に気付かないことが多い。
視野(見える範囲)は、更に狭くなり視力も悪くなって、日常生活にも支障をきたすようになり、更に放置すると失明に至ります。
緑内障には、大きく分けて3つのタイプがあります。 他に原因となる病気がない場合の「原発緑内障」、ケガや何らかの病気・薬剤の使用などが原因で起こる「続発緑内障」、生まれつき隅角の異常があるなどの「先天緑内障」の3つです。 この内、誰にでも起きる可能性があり、実際に患者さんが多いのは「原発緑内障」です。基本的には、白内障と同じく、年齢的な変化で視神経が痛み、緑内障になります。中には、緑内障家系と呼ばれる、遺伝子的に緑内障になりやすい家系の方もいらっしゃいます。
緑内障の進行度、緑内障の種類によって、治療方法が異なります。 日本人に現在一番多いとされている正常眼圧緑内障や開放隅角緑内障(かいほうぐうかくりょくないしょう)のほとんどは点眼薬での治療を第一選択に考えております。 狭隅角(きょうぐうかく)や閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)の場合、レーザー治療や観血的手術治療が必要になる場合もあります。 緑内障は決して怖い病気ではありません。長く上手にお付き合いする気持ちで、治療を受けていただけたらと思います。